【HIEプレップスクール】AO・推薦入試の攻略法とは? ――アクティブ・ラーニングに基づいた強みの必要性――
皆さん、こんにちは!
両国校国語科講師の福島です。
2020年の大学入試改革に向けて、AO・推薦入試を実施する大学が私立だけでなく国公立でも年々増えています。
そこで、今回はAO・推薦入試の攻略法について考察してみました。
AO入試は日本では1990年に慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)で導入されました。AOとはアドミッションズ・オフィス(Admissions Office)の略で、入学選考事務局、入学管理局のことです。アドミッション・ポリシー(Admission Policy)とは、学校の入学者受け入れ方針のことで、自校の教育理念や特色などに基づき、どのような学生像を求めるかをまとめたものです。アメリカではAO入試が早くから実施されていて、提出書類や面接などをチェックするのはアドミッションズ・オフィスの専従職員です。それに対して、日本のAO入試では、それらをチェックするのは主に教授です。
AO入試と推薦入試を併せてAO・推薦入試と呼びます。これは、学科試験の結果で合否が決まる一般入試と違い、出願者の人間性と能力に対して多面的な評価を行って選抜する試験です。各大学のアドミッション・ポリシーを理解して出願することが基本です。2020年度からAO・推薦入試でも学力試験の実施を義務付けられるそうです。
AO入試と推薦入試のそれぞれの特徴は次のとおりです。
(A=学校長の推薦、B=評定平均値、C=筆記試験、D=面接、〇=有り、×=無し。)
【AO入試】
…………アドミッション・ポリシーに基づいて、大学側が求めている学生を選抜する。
…………大学の出願資格を満たしている人が各自受験する。
…………A=×、B=×が多い、C=〇・小論文等、D=〇。
【推薦入試】
…………アドミッション・ポリシーに基づいて、大学側が求めている学生を選抜する。
…………大学の出願資格を満たしている人が高校から推薦書をもらって受験する。ただし、自己推薦入試は学校長の推薦が要らない。
①公募制一般推薦
…………A=〇、B=〇、C=〇・小論文等(国公立の場合、センター試験が課せられることもある)、D=〇。
②公募制特別推薦
・スポーツ推薦・文化活動推薦
…………活動実績で評価される。
…………A=〇、B=×が多い、C=〇・実技試験等、D=〇。
・自己推薦
…………AO入試に近い。
…………A=×、B=×が多い、C=〇・小論文等、D=〇。
③指定校推薦
…………大学側が特定の高校を指定する。合格率は非常に高い。
…………A=〇、B=〇、C=〇・小論文等、D=〇。
AO・推薦入試の方式は多様で、2段階型選抜方式や対話型選抜方式等があります。
2段階型選抜方式の場合、第1次選考では「志望理由書」「自己推薦書」「活動報告書」「学修計画書」等の書類審査があり、第2次選考では「小論文」「面接」「プレゼンテーション」「グループディスカッション(集団討論)」等が課せられます。
対話型選抜方式の場合、「エントリーシート」を提出したあと、「面接」を中心とした対話を重ねて選抜を進めていきます。「課題」「小論文」等の審査もあります。
「志望理由書」「エントリーシート」はAO・推薦入試の中心になるものですので、特にしっかり取り組む必要があります。
AO入試は試験日程が早く、出願は早いところで8月から始まります。したがって、準備も早めに始める必要があります。遅くても高校3年の4月に始めるのがよいでしょう。
AO・推薦入試の受験者に必要なことは、自分が志望する大学・学部の特徴とアドミッション・ポリシーを踏まえて問題発見解決型の思考(*1)を活性化し、アクティブ・ラーニングの実践によって培った強みを大学側にアピールすることです。このような強みがない人は、AO・推薦入試よりも一般入試のほうが向いています。
学校の成績がどんなに良くても、大学のアドミッション・ポリシーにふさわしい強みがない人は、不合格になる可能性があります。ましてや、一般入試で合格するだけの基礎学力がないからAO・推薦入試を受けようという安易な考え方では合格は難しいですので、注意しましょう。
それでは、アクティブ・ラーニング(Active Learning)とは何でしょうか?
それは「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」(*2)で、「主体的・対話的で深い学び」(*3)です。
アクティブ・ラーニングの視点は3つあります。
《①学ぶ意味と自分の人生や社会との在り方を主体的に結びつけていく「主体的な学び」
②多様な人との対話や先人の考え方(書物等)で考えを広げる「対話的な学び」
③各教科で習得した知識や考え方を活用した「見方・考え方」を働かせて、学習対象と深く関わり、問題を発見・解決したり、自己の考えを形成し表したり、思いを基に構想・創造したりする「深い学び」》(*3)
AO・推薦入試では、こうした3つの視点(①主体的学び、②対話的な学び、③深い学び)を備えたアクティブ・ラーニングの成果を大学側にアピールする必要があります。アクティブ・ラーニングは2020年から2030年にかけて施行が予定されている新学習指導要領で重視されることになっていますが、AO・推薦入試対策では、その先取りが必要なのです。
したがって、AO・推薦入試対策につながる活動は、学校内だけでなく学校外でも積極的に行わなければなりません。
たとえば、2016年度同志社大学スポーツ健康科学部のAO入試を受けることにしたHKさんは、私との対話を契機に、東京都障害者総合スポーツセンターの見学や東京体育館における障害者スポーツ体験だけでなく、アーツ千代田3331におけるポコラート全国公募展の作品鑑賞を主体的に行いました。これらの体験や読書等における対話を言語化し、有機的につなぐことによって学びを深め、志望理由書を中心とした書類を作成し、この学びを面接やプレゼンテーションにも活かしました。そして、AO入試ではアクティブ・ラーニングに基づいた強みを大学側にうまくアピールすることができ、選考倍率15倍の難関を見事に突破して、第1志望の同志社大学に合格しました。
国語科講師でありAO・推薦入試対策のアクティブ・ラーニング・プロデューサーでもある私は、アクティブ・ラーニングを自ら実践し、日々研鑽を積んでいます。そして、受動的な学びを能動化・最適化して生きる力を養成する仕事をしていて、効果的なプログラムの開発を続けています。
AO・推薦入試を積極的に受けようと考えている方であっても、アクティブ・ラーニングをうまく活用できていないことが多いです。能動的に学んでいるつもりであってもその学び自体が受動的であったり、能動的な学びをしていても最適でなかったりします。このままではAO・推薦入試には合格できません。そこで、アドミッション・ポリシーにふさわしいアクティブ・ラーニングのプロデュースが必要になってきます。
大学、公共団体、企業では、講座、研究発表、シンポジウム、フォーラム等が多く開催されています。特に慶應義塾大学SFC Open Research Forum(ORF)(*4)は、慶應義塾大学を志望している方だけでなく、そうでない方にもおすすめです。
私は、このような学術イベントに積極的に参加して最先端の研究に触れ、それを言語化し、学びを深めていて、ブログの発信や論文執筆(*5)等をしています。このアクティブ・ラーニングの実践によって、受験者自身が気づいていない強みを発見しやすくなります。このことによって生まれた良い発想をAO・推薦入試対策に活かすことで、合格の可能性が高まります。
たとえば、私は福祉の本質を学ぶために、2014年にベネッセスタイルケア(*6)で介護職員初任者研修の介護資格講座を受けました。これはまさに人間学のアクティブ・ラーニングで、人間として真に大切なこと(ノーマライゼーションの思想)を学ぶことができました。この時に私が学び考えたことをHKさんのAO入試対策に活かすことによって、HKさんの強みが明確になりました。そして、それを磨いていくことでHKさんは合格レベルに達することができました。
このように、アクティブ・ラーニングに基づいた強みは、AO・推薦入試の受験者だけでなく、AO・推薦入試対策のプロデューサーにも必要です。この強みを活用することによって、守りではなく攻めのプロデュースができるようになるからです。
たしかに、AO・推薦入試対策は一般入試よりも手間がかかります。しかし、合格した時の受験者の喜びは非常に大きく、主体的に社会貢献できる人材のプロデュースに関わることができたという大きな喜びが私にも湧いてきます。
AO・推薦入試の攻略法とは何でしょうか?
それは、アドミッション・ポリシーにふさわしいアクティブ・ラーニングを実践して強みを身につけ、それを大学側にうまくアピールすることです。
アクティブ・ラーニングを日々実践している皆さん、AO・推薦入試に挑戦してみませんか?
註
(*1)「AO・推薦入試に必要な思考とは?――桑田真澄/平田竹男『新・野球を学問する』」(HIEプレップスクールのスタッフブログ、2015・9・15)」参照。
(*2)「初等中等教育分科会(第100回)配布資料」平成27年9月14日、「資料1-1 教育課程企画特別部会 論点整理」の「2.新しい学習指導要領等が目指す姿(3)1.」。
(*3)「中央教育審議会教育課程企画特別部会 資料1」平成28年8月1日、「次期学習指導要領に向けたこれまでの審議のまとめ(素案)のポイント」。
(*4)「小論文の発想力を養うための秘策とは? ――慶應義塾大学SFCのORFのすすめ――」(HIEプレップスクールのスタッフブログ、2015・10・27)」参照。
(*5)研究テーマは共生文化論。論文は「小林秀雄とユング」(『ユング研究5』名著刊行会)等多数。
(*6)代表取締役社長は滝山真也氏(慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了)。
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