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【HIEプレップスクール】京都大学シンポジウムに参加してきました! ――「京都からの挑戦―地球社会の調和ある共存に向けて―〔翔ぶ、京大〕」――

      2016/10/11

写真2(京都大学)みなさん、こんにちは!    
両国校国語科講師の福島です。
京都大学でも学術的イベントがたくさん開催されています。
東京で参加できるものもあります。
京都大学は東京地区における情報の収集および発信の拠点として「京都大学東京オフィス」を開設しています。このオフィスは品川インターシティA棟27階(東京都港区港南2‐15‐1)にありましたが、2016年3月末日で閉館し、5月2日に新丸の内ビルディング10階(東京都千代田区丸の内1‐5‐1)に移転します。
2010年6月から品川駅前の「京都大学東京オフィス」において、①京都大学附属研究所・センター(Kyoto University Institutes and Centers:KUIC)「「品川セミナー」(毎月1回)、②国立共同利用・共同研究拠点協議会「知の拠点セミナー」、③「東京で学ぶ知」を開催してきました。
2016年度からは東京駅前の新しい「京都大学東京オフィス」において「京都大学丸の内セミナー」として毎月1回のセミナーを開催することになりました。これは関東地域在住の社会人を対象とした「大人のための高度な教養講座」としての位置づけで、産官学連携の視点から「専門性、先端性、タイムリーな話題」を特に重視しています。この講座は高校生には難しいかもしれませんが、自分が将来専門にしたいテーマであれば受講する価値があるでしょう。

写真3(京都大学)

また、2004年度から京都大学附属研究所・センター会議が主体となり、「京都からの提言―21世紀の日本を考える―」をメインテーマに、一般市民を対象として「京都大学附属研究所・センターシンポジウム」を毎年1回、京都以外の主要都市において開催してきました。2015年4月からは、京都大学研究連携基盤の設置を受け、メインテーマを「京都からの挑戦―地球社会の調和ある共存に向けて―」として開催することになりました。
このシンポジウムは附属研究所・センター個々の研究活動や研究成果だけでなく、未踏科学研究ユニットの研究活動の状況、研究の進展をも広く紹介しようというもので、中学・高校の生徒、および中学・高校の先生などの参加を期待しています。シンポジウムの企画に当たっては「平易性、おもしろさ、モチベーション高揚」を重視しています。

写真4(京都大学)

私は2016年3月12日(土)の第11回京都大学附属研究所・センターシンポジウム「京都からの挑戦―地球社会の調和ある共存に向けて―〔翔ぶ、京大〕」(於・品川インターシティホール)に参加してきました。
シンポジウムの主催は京都大学研究連携基盤、後援は東京都教育委員会、読売新聞社です。参加者は約600名で、そのうち中高生は約200名でした。HIEプレップスクール両国校に近い都立高校(両国高校、小松川高校)からも多数の高校生が参加していました。
10:00から17:10まで、講演(①~③、⑤~⑦)、研究ユニット紹介(④)、パネルディスカッション(⑧)がありました。
プログラムは次のとおりです。

10:00~10:10
開会挨拶…………山極壽一(京都大学総長)
10:10~10:20
来賓挨拶…………石崎宏明(文部科学省学術機関課学術研究調整官)
〔牛尾則文(文部科学省学術機関課長)の代理〕
10:20~10:50
①「オーロラ研究者が見た地球」…………海老原祐輔(生存圏研究所准教授)
10:50~11:20
②「砂漠・半乾燥地の気象学」…………石川裕彦(防災研究所教授)
11:20~11:50
③「福島を見る「目」」…………谷垣実(原子炉実験所助教)
11:50~13:05 休憩
13:05~13:20 質問回答コーナー
13:20~13:50
④未踏科学研究ユニット紹介
…………大志万直人(研究連携基盤基盤長)、佐々木節(基礎物理学研究所所長)、平井啓久(霊長類研究所所長)、小西哲之(エネルギー理工学研究所所長)、貴志俊彦(地域研究総合情報センター所長)
13:50~14:20
⑤「RNAスイッチによる細胞運命制御」…………齊藤博英(ⅰPS細胞研究所教授)
14:20~14:50
⑥「古文書から覗く日本人」…………岩城卓二(人文科学研究所准教授)
14:50~15:20
⑦「アマゾンフィールドミュージアム」…………幸島司郎(野生動物研究センター教授)
15:20~15:40 休憩
15:40~15:55 質問回答コーナー
15:55~17:05
⑧パネルディスカッション「翔ぶ、京大」
…………山極壽一(京都大学総長)、津田敏隆(生存圏研究所准教授)、井波陵一(人文科学研究所長)、小柳義夫(ウイルス研究所長)
司会…………吉川佐紀子(こころの未来研究センター長)
17:05~17:10
総括・挨拶…………湊長博(京都大学理事)

①~⑦の講演はそれぞれが素晴らしくて興味深い内容でした。関西弁の講師が多くて語り自体も面白かったです。特に①③⑤⑦の講演が私の印象に残りました。
①のテーマは「オーロラ研究者が見た地球」(講師:海老原祐輔)でした。
海老原祐輔氏はスウェーデン国立宇宙物理研究所でオーロラの偉大さに圧倒されたことにより、オーロラ研究を始めました。生存圏研究所でオーロラ爆発(オーロラ・ブレイクアップ)現象を最新のコンピューター・シミュレーションを用いて調べると、宇宙と地球の間で生じる矛盾を自己解決しながら自律的に発達していることが分かりました。
オーロラの色は木星や土星がピンクであるのに対して、地球は緑色・赤・ピンクです。緑色のオーロラは太陽から降り注ぐ電子が地球の酸素と衝突して光ったものです。オーロラは宇宙の奇跡であり、宇宙と共存するためには宇宙をよく知ることが大切です。このことを海老原氏はオーロラの動画を通して私たちに伝えてくれました。
オーロラは『日本書紀』『明月記』や本居宣長の日記などの古典にも「赤気」という名称で記録されています。私は「昔の人はオーロラをどのように解釈していたのですか?」という質問をしました。すると、海老原氏は「天人相関説がある古代中国ではオーロラは吉兆であり、オーロラ現象があると皇帝は民に施しをしました。その影響が『日本書紀』にもあります。それに対して、『明月記』や本居宣長の日記はありのままを記録したものです」と答えてくださいました。地球の磁場が弱まりつつあるので、オーロラは1000年後になくなる可能性があるそうです。
③のテーマは「福島を見る「目」」(講師:谷垣実)でした。
東電福島第一原子力発電所の事故は、五感で認識できない放射線と生活の中でどう向き合うかという問題を提起しています。谷垣実氏の所属する原子炉研究所では広範囲の放射線分布を迅速に把握できるKURAMAやKURAMA‐Ⅱを開発し、それらは国や県の調査で活用されました。現在も福島県内の路線バス等に搭載されたKURAMA‐Ⅱが生活圏の放射線量の継続測定、「地域を見守る目」の役割を果たしています。研究者たちは地域の人々と交流し連携することが大切です。
⑤のテーマは「RNAスイッチによる細胞運命制御」(講師:齊藤博英)でした。
齊藤博英氏の所属するⅰPS細胞研究所研究所では、RNAという生体分子に着目し、目的の機能をもつRNAをデザインすることで、細胞の運命を制御できる新技術、「RNAスイッチ」を開発しました。これにより、目的の細胞を精密に選び出したり、不要な細胞を識別して取り除いたりすることが実現しつつあります。さらに、RNAはナノテクノロジー分野でも注目を集めつつあり、細胞内で機能する「分子ロボット」が今後作り出される可能性があります。将来、再生医療やRNA創薬に応用されるそうです。
ⅰPS細胞(人工多能性幹細胞、Induced Pluripotent Stem Cell)は、ほぼ無限にふえ、ほとんどの細胞に変化するという特徴を持っているので、齊藤氏はこれを「い(ⅰ)っぱ(P)いふえるす(S)ごい細胞」と呼んで高校生の笑いを取っていました。スライドで「分子ロボット」をガンダムのような絵にしていたのも面白くて好評でした。
⑦のテーマは「アマゾンフィールドミュージアム」(講師:幸島司郎)でした。
幸島司郎氏は日高敏隆教授の「不思議なことを見つけてきなさい!」という言葉に促されてヒマラヤに行き、寒くないと動けない虫を発見しました。氷河の色は微生物によって変わることも分かりました。パタゴニアは白、アラスカはピンク、ヒマラヤは黒だそうです。そこで、幸島氏は氷河にも生態系があることを博士論文のテーマにしたそうです。教授になってから学生に「何を研究したらいいか分かりません」と言われたので、日高教授の言葉を伝えると、学生はイルカの休息について研究しました。イルカは浮上休息、着底休息、遊泳休息をします。眠る時は一方の目だけ閉じ、他のイルカとペアで眠る時は内側の目を開け、外側の目を閉じるらしいです。
幸島氏が所属する野生動物研究センターでは、マナティやカワイルカなどの野生動物を飼育、半飼育、野生下で観察できる施設と保護区のネットワーク「フィールドミュージアム」を整備しようとしています。これはエコツーリズムを通じて地域経済にも貢献できるだけでなく、他の多くの生物の研究・保全にも役立つため、地域の生態系保全・環境教育・エコツーリズムの拠点となる可能性をもっています。
④は未踏科学研究ユニットの紹介でした。
京都大学には理工系、医学・生物学系、人文・社会科学系およびそれらを跨ぐ学際系の22の附置研究所と附置研究センターがあります。2015年4月、附置研究所・センターの強み・特色をさらに伸ばすとともに、異なる視点を持つ研究者の知を結集させ、異分野融合・新分野創成の促進も図ることを目指し、「京都大学研究連携基盤」(Kyoto University Research Coordination Alliance:KURCA )が学内組織として設置されました。京都大学研究連携基盤は「研究力強化」、「グローバル化」、「イノベーション機能の強化」の新たな取り組みを進めることが使命で、「未踏科学研究ユニット」という研究組織を持っています。
そして、2015年7月から四つの異なる学際融合課題の研究事業ユニットをスタートさせました。それは未来創成学国際研究ユニット、ヒトと自然の連鎖生命科学研究ユニット、グローバル生存基盤転回ユニット、学知創生ユニットです。これらの未踏科学研究ユニットによって創発的イノベーションを実現しようとしています。
このことは2016年度から始まった特色入試と連動しています。京都大学は次世代研究者の教育を通してグローバル人材育成に貢献しようとしているのです。
⑧はパネルディスカッションで、テーマは「翔ぶ、京大」でした。
京都大学は対話を根幹とした自由の学風が伝統であり、「探検大学」と呼ばれるようにフィールドワーク(実地体験)を重視していいます。
京都大学総長の山極壽一(やまぎわ・じゅいち)氏は人類学・霊長類学を専門にしていて、アフリカ各地でゴリラの研究に従事しています。山極氏の情熱的な言葉を次にまとめておきましょう。
《京都大学は研究所が日本で一番多く、世界で活躍したい人材を求めています。研究者は「なぜ?」と問う力で未知の世界に向かうことが大切です。研究には仮説検証型と現場発見型があります。両者が交差することによって新しい知が生まれ、科学者は興奮します。研究は一見社会と無関係に見えても現代社会と深いつながりがあります。新しい物の見方ができる科学者は、他の科学者と組むことによって「翔ぶ」ことができます!》
このように山極氏は熱く語っていらっしゃいました!
京都大学は本気です。
本気でイノベーションによって世界を変えようとしているのです!
その本気が参加者にも強く伝わってきました!
約7時間にわたる京都大学シンポジウムでしたが、私は疲れることなく、大いに啓発されました!
以上のように、大学では学術的イベントが開催されています。
このようなイベントに参加すると新しい発見があり、知的探究心を高めることができますよ!

 

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