古文の宝石箱を見て輝こう! ――田辺聖子『文車日記―私の古典散歩―』――
2016/01/06
みなさん、こんにちは!
両国校国語科講師の福島です。
このブログで国語や小論文に関する情報をお伝えすることになりました。
初回は古文が読みたくなる本をご紹介します。
それは田辺聖子さんのエッセイ『文車日記―私の古典散歩―』(新潮文庫)です。
「文車」は「ふぐるま」と読み、蔵書や文書を運搬するための車両を指します。
題名は、文車から取り出した日本の古典を自由に読んで、その魅力を書き綴った日記という意味でしょう。
この本を読むと、古文の世界のおもしろさや魅力が実感できます。
全部で67章もありますが、それぞれの章は短くて読みやすくなっています。
散歩をするように、興味をひかれる章から読んでいくとよいでしょう。
在原業平は超イケメンで歌が得意なプレイボーイです。
『伊勢物語』は、その業平が恋の遍歴をする物語です。
田辺さんは『伊勢物語』を「恋の見本帳」と呼んでいます。
この言葉を借りれば、『文車日記』は「古典愛の見本帳」と呼んでよいでしょう。
田辺さんが惚れ込んだ、宝石のような古文がたくさん出てくるからです。
もちろん入試頻出の古文も出てきます。
おもしろくて古文の入試対策にもつながるので、一石二鳥です。
気になる作品がありましたら、それを現代語訳で読むとよいでしょう。
気に入った部分がありましたら、その原文も読んでみてください。
そうすると、古文の理解が深まります。
『文車日記』は古文の宝石箱です。
この本を読むと、新しい出会いが生まれ、人生の輝きが増しますよ!